2016-06-24 21:33:04EVOCカンファレンス2016 in HAKONE(2016.5.21) 午前の部 その1
[EVOCカンファレンス2016 in HAKONE]
開催日時:2016年5月21日(土曜) 10:00~17:00
参加自治体等(順不同):
経済産業省(自動車課)、神奈川県(産業労働局産業部エネルギー課)、兵庫県庁(企画県民部特区推進課)、兵庫県淡路県民局(県民交流室未来島推進課)、さいたま市(環境局環境共生部環境未来都市推進課)、小田原市(環境政策課)、箱根町役場(企画観光部)、
企業(順不同):
EVsmart(アユダンテ株式会社)、EVステーション(株式会社優輝)、株式会社サイカワ、
株式会社ミントウェーブ、日本充電インフラ株式会社
参加人数 52名 (EVOCメンバー 30名、 自治体、企業関係者 22名)
参加EV・PHEV 33台 (日産リーフ14台 三菱i-MiEV 11台 三菱アウトランダーPHEV 3台
BMW i3 3台 テスラモデルS 2台)
■座談会① 「次世代EVの行方はどうなるのか?海外勢の動向は?」 10:00~12:00
電動車輌アドバイザー 内田氏によるプレゼン。パネラーによる討議・質疑応答
●今後の電動車両の動向は?EV?PHEV?それとも?/●次世代の電動車両用2次電池の開発状況と動向は?/●次世代EVはいつ登場するのか?その航続距離と充電時間。/●電動車輌の各メーカーラインナップはどうなっていくのか?
■座談会② 「充電マナーと利用者及び運営上の問題とは?」 13:00~15:00
アユダンテ(株)代表 安川氏による 「日本の充電課金スポットの現状」ついてプレゼン、質疑応答。
●今後のQCはどこに設置すべきか?出力は?既存のQCは陳腐化しないか?/ ●急速と普通充電はどのように棲み分けすべきか?既存設置の問題点と将来設置への要望/ ●QC対応のPHEVが増える中、QC現場でのトラブルは多くなると思われるがその対策は?/ ●充電マナーのルール化と告知策を検討
詳細討議内容
司会)
大変長らくお待たせしました。只今よりEVOCカンファレンス2016 in HAKONEを開催いたします。本日司会をさせていただきます、箱守と申します。どうぞよろしくお願いします。
毎年のことでございますが、EVOCカンファレンスでのお話しは、「ここがこうなる、これがこうである」と、全部が保証するものではございません。こういったではないかとか、批判的なことなど、口外されないようお願いいたします。ゲストの皆さんの立場上、今後ご出席いただけなくなるので、どうぞその点はご留意いただきますようお願いします。EVOCカンファレンスは4年目となりますが、代表の桑原からご挨拶をお願いします。
桑原)
本日は、西は兵庫、北は山形からと、全国からお集まりいただきありがとうございます。さて、この一年、日産リーフの30kWhタイプが出ましたけれども、他の新しい車種が出てこない状況で、今回、何をテーマにしたらよいか迷いました。しかしながら、去年と状況が変わって来たところですと、バッテリーの発達があるようなので、そのあたりを踏まえ、今後のEVがどうなっていくのか勉強していきたいなあと思います。
その前に、今年は、EVメーカーが一社も参加されないという状況になってしまいました。何故かというと、VWさんに始まり、三菱自動車さんの状況があり、なかなか参加いただける状況でないということと、日産自動車さんも熊本地震の影響があるとか、BMWさんからも返事はございませんでした。また、STYLE-D(piana)さんにも打診しましたが、実用化中のため、現時点では出せる車両がないということで、今年はご参加できないということでしたが、来年は是非ということでした。そういう状況でしたので、EVメーカーさんの参加が0となってしまいました。
今回は、電動車両アドバイザー内田さんをメイン講師としてお迎えしました。ご講演をとおして、みなさん知識を深めていただきたいと思っております。
司会からもお伝えしましたが、これから皆さんがお話しすることは、必ずしも実現するとは保証できるものではございませんので、それに対してのクレームなどは無しにしていただいたいし、WEB等にもお書きになられることはご遠慮いただきたいと思います。実のある会にしていきたいと思いますので、みなさんよろしくお願いします。
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■座談会① 「次世代EVの行方はどうなるのか?海外勢の動向は?」 10:00~12:00
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司会)
テスラモデル3が40万台突破というショッキングな状況で、「本当に売れるのだろうか、間にあうのだろうか」という意見があります。が、私も、シアトルに短期間滞在していたことがありましたが、2011年時点で、仲間が「リーフをちょくちょく見るよ」と。その後2015年あたりから、ほとんど電気自動車はテスラだと。シアトルは、マイクロソフトがあり、ボーイング社、アマゾンとか、また、タリーズとかスターバックスの本社のあるといった勢いのある街ですが、とにかくテスラが多いと聞いています。
これから一体どうなっていくのでしょうか。次世代のリチウムイオン電池の開発が急ピッチで進んでいます。日産自動車が30kWhのリーフを発売して、これも、大変好評だと聞いております。一方、国内外のメーカーがPHV,PHEVに力を入れていて、トヨタさんが、とうとうCHAdeMOをつけてしまうというショッキングな状況もあり、PHEV(PHV)が注目されています。ピュアEVがなかなか進んでいないのではないかとの印象を我々持っております。来年の投入も、何が入っていくかおぼつかない状況ですし、再来年になって計画が発表されるといった状況があります。そのようなEVの開発状況を検証していきたいと思います。 一方、各自治体の政策の状況や、今後の展望、現在の課題などについて、国の補助金など、これからどうなっていくのかお聞きしたいと思います。
パネラーは、正面左から、経済産業省の鈴木様、神奈川県から佐藤様と堀井様、兵庫県民局から地白様、新井様、細井様、さいたま市から田中様、山崎様、小田原市から山下様、石井様、神田様からご意見を伺いながら、また、電動車両アドバイザーの内田様、代表桑原、私、箱守も加わりまして、進めて行きたいと思います。
では、まず、電動車両アドバイザー内田さんから、電動車両の現状についてプレゼンしていただくところから始めましょうか?
EV、PHEV はこれからどうなるのか
電動車両アドバイザー 内田)
皆さん、こんにちは。はじめに、「EV、PHEVはこれからどうなるのか」というテーマについてお話しします。各メーカーから新しいEV、PHEVが出ていない理由として、開発が少し遅れていて、その理由の一つがバッテリーの課題があるようです。しかしながら、あと2年くらいするとぐっと変わってくるかなというのが見えています。
ヨーロッパ勢がこの2016年からどんどん投入していきます。が、ヨーロッパのメーカーだけで開発しているのではなく、中国のメーカーと一緒になったりしているようです。また、アウディやボルボは、EVという形で出て来るようですが、量販のPHEVもという噂も聞いています。
世界的には、どういう傾向で動いているかというと、SUVという形が多いです。搭載電池の容量もあるので、世界的に売りやすい車という中ではSUVとして最初にでてくるでしょう。主力商品としては、セダンよりSUVが多くなっているというのが現状です。やはり、バッテリー密度の課題があり、どうしてもSUVクラスでないと距離が稼げないのかなとこういうところが現状ですね。今の予想で行くと、2020年度までには、間違いなく20%を超えてきます。各メーカーで開発しているEVの車種は、ほとんどがSUVです。ボルボもセダン系でなく、ワゴンをSUV化した車のEV化という傾向の話を聞いています。
世界は温暖化対策に向けて動き出している
この理由は、温暖化対策なのです。世界中、この温暖化対策にむけて動き出している。いま話題となっている中国ですが、ヨーロッパのメーカーと共同でEVを出してきます。実際、バッテリーメーカーとしては、BYDという会社があり、ほとんどのメーカーにリチウムイオンを流しています。実は、ここもEVを作っていますが、まだ、どうしても中国生産なので、信頼性に懸念もあります。
話は戻りますが、温暖化対策の一環で、各メーカーがどうしても電動化に走るという傾向があります。特にヨーロッパでは、エンジンも捨てきれず、エンジン車にモーターをつけてエンジンの負荷を軽減するシステムが出てくると噂を聞いています。リチウムイオン、鉛バッテリー両方併用して、エンジン回転域の負荷にかかる部分にモーターをつかうといったエンジン開発の噂を聞いています。
これから、電動車両の比率が大きくなってくるなかで、2018年2019年の頭にはかなり進化したEVが出てくると想像できている。それまでの間はどうしてもPHEVです。面白いのは、今回トヨタが11月に販売するプリウスPHVですが、かなり発電というところを重要視し、PHV化していると見ています。EVで得意の回生ブレーキをかなり強化しています。もちろん、急速充電器対応のグレードがあるようです。航続距離もかなりでていて、三菱のアウトランダーPHEVとほぼ同じ距離を走るようです。バッテリーはアウトランダーPHEVの12kWhに対して、トヨタのプリウスPHVは8.8kWh、これで、ほぼ同じ約60kmをEVで走れるようです。インパネ関係も、かなり見栄えのいい車に仕上がっていましたね。バッテリーの搭載位置もうまく作っているので、室内の空間も十分確保されていて、セダンとして有効なPHVとして出てきます。
2018 年度末か 2019 年度初めに RVR の EV が登場
三菱も、今年の秋口あたり、今のアウトランダーPHEVの中身の進化版と、2018年度か2019年度の初めに、RVRのEVが出てきます。先だって東京モーターショウで出てきていたコンセプトカーは実走行できる車に仕上がっていました。あとはバッテリーの課題ではないでしょうか。バッテリーの密度がなかなか上がってこないので、登場するのは18年の終わりくらいかなとみています。もちろん、プラットフォーム共通化しながら、こんな形でのいま計画が入っています。PHV方式は三菱、EVは日産の方が強く入ってくるような気がします。
SUV化ふくめて、2018年度以降、予定されているようです。この中で、EVとして実際に出てくるのはRVR、それから、アウトランダーPHEVとRVRの間くらいの小型PHEV、アウトランダーPHEVの進化したPHEVというのが出てきそうですね。三菱のPHEVという車は、他車と違う点は、発電メインで走るというところですね。
燃費に関しては、購入されたお客様が、EVだけで一生懸命に走ろう、ハイブリッドだけで走ろうとすると、燃費が上がらない。リチウムイオンの50%くらいの、充放電の一番いいところを使って走らせると、リッターあたり3桁タは行きます。ただ、ここまでのテクニックは非常に疲れます(笑)。なぜかというと、電池を減らさないで、しかも、回生をうまく使わないといけないので。普通にハイブリッドだけで走っているとカタログ値よりちょっといいくらいの24km/リッター位しか走らない。また、EVだけで走っていても、これも、時間のロスがある。発電をうまく利用して走らせるというのが、今のアウトランダーの一番の走り方ではないかと思います。
このスライドには、2020年度までの予想を示しています。勝手に○△つけていますが、この形で出てくるでしょう。○印がついているものは海外だけですね。△は保留のようです。
これからの次世代自動車は、基本的に電動化に走ると予想します。どうしても、電動化していかないとCO2削減効果が生まれてこないので、電動化せざるを得ないと言うのが現状です。 エンジン車でもモーターをうまく利用して、CO2をなるべく減らす、簡単にいえば、エンジンの負荷を減らしてガソリン消費をおさえるのです。
各社これから出てくるエンジン車はおもしろいですよ。Stop and Goは普通になっていますよね。時速13km以下になったらガソリンをエンジンに供給するのを停めてしまう車がどんどん出てきます。止めても惰性で、回生を働かせて、この回生で生まれたエネルギーをバッテリーにうまく蓄えて利用してくるという車が普通に出てくるようです。
いままで、走行中にアイドリングStopが出来なかった理由は単純です。ガソリン供給止めてエンジンを止めたら、なにが起きるかといったら、(ベルト駆動しているブレーキ補助ポンプが止まってしまい、)フットブレーキが利かなくなる。ここに関しては、電動化技術が膨らんできたので、きちんとフットブレーキも聞くし、ステアリング操作にもロックがかからないように仕上がっています。特に小型車に関しては、Stop and Goでは、ほとんどのメーカーで、時速13km位で、ガソリンの供給を止めるというスタイルに切り替わると思います。これ一つやるだけで、かなりCO2削減に貢献できると思っています。
次期 EV は、実走行 300km 超え
三菱の次期EVは、2018年秋と言っていますが、実際は2019年の春位だと聞いています。次期EVは新しい電池を搭載し実走行約300km超えを走ると予想されます。システム的にはランサーエボリューションの4輪駆動システムと同じものを搭載しています。エボリューションと違うのは、エンジンとギアを使わずリアルタイムにモーター駆動させるので、クイックに曲がれる車になります。より安全で、距離も稼げて、パワーも出せるという、こういう商品が予想されます。このころには、三菱だけでなくて、全世界のメーカーから、かなりのPHEV, EVが出てきています。2020年に向け、電動化が進むと予想されます。特に、ヨーロッパは、PHEVを販売しているが、値段が高くて一般に普及していないというのが現状。これから先、他社とコラボした車が出てくる噂を聞いています。コラボすることで値段がこなれてくるのかなと予想しています。間違いなく、日本の方が遅れています。ヨーロッパの方が先に先行してきます。
最近で面白いのは、PHVという表現とPHEVという表現を使っていますよね。これ、電池の大きさの違いではないかと、10kWh未満の電池を積んでいるところはPHV、10kWh以上積んでいるところは、PHEVという言い方をしているように見えます。ただし、三菱のPHEVみたいに、モーターで走ることを主力とした車でなくても、電池のボリュームが大きいものをPHEVとこういうふうに呼んでいます。やはりヨーロッパは、繋がっていて走る距離が長いので、EVだけで走るのは非常に難しいので、エンジンの方が主力というのはまだまだ捨てきれないだろうなあと見ています。だだ、ヨーロッパメーカーも本当にアジア圏で、日本では名を知れないメーカーとコラボして、EVやPHEVを開発しているのが見えますね。2020年になるにつれてEV化した車がものすごい数がでてくると思います。ただ、アメリカだけが、このなかでなかなか増えないですね。アメリカだけはまだ、エンジンだけで行くんでないでしょうか。
バッテリーは、2020 年度を境に一気に普及期に!
電池も、NEDOという機関で、計画して開発を進めています。エネルギー関係は、京都大学を中心に産学間で企業も参加しながら、進行しているというのが見えています。ここ見てもらうと分かりますが、普及初期と普及期とかいてありますよね。普及期は2020年度。これを目途に一気に変わると見ています。電池にもいろんな電池がありますが、みなさんが乗っていただくには、安全を確保しなくてはいけない、そのなかには、温度の検査も必要だし、劣化のこともでてくるし、耐久性の問題もある、安全の問題これをクリアーにすることが一番かかっているのが私の見方です。
バッテリーの値段が、kWhあたりいくらくらいだと下の欄に記載が有りますが、この値段をみていると、だいたいこれから出てくる車がどれくらいの価格に落ち着くかという予想が立てられますが、まだまだバッテリーの値段が高いです。2020年度になってもまだ高い。2030年度になると、フツーになるのだと見ています。
これは先ほど少しお話ししたトヨタさんがネットで公開したPHVです。かなり斬新てきなデザインで、非常に良く仕上がっています。急速充電器対応というところが、この先、これがかなりの台数が出てきたときには、やはり、充電時のマナーというのが必要でしょう。こういうところを考えながら、販売をしていっていただきたいですね。そうすると、非常にいい車として売れてくるのではないでしょうか。
用意したスライドは以上ですが、これからの時代に向けてはこんな話題ですかね。
司会)
いまのプレゼンをお聞きして、しばらくはPHEVで、潮目が変わるのは2020年くらいではないかと。ちょっと先行して18年終わり位でしょうか。
では、次世代の1.5世代リチウムというべきか、密度が1.5倍くらいとなる電池の話もでてきますが、こんなことも含めて、話していきたいと思います。
桑原)
電池の話題というと、ネットやプレスではいろんな電池が出てきますよね。
固体電池だとか、ナトリウム電池、水電池、いろんな電池が開発されて、実用化に向けてなんてどんどん出てきていますが、今のところ、リチウムイオンという形ですすんでいるようです。さて、エネルギー密度が倍になると、航続距離は倍になるというイメージだと思うのですが。
内田)
航続距離が倍というのは難しいです。車として重くなるので、電池密度が倍にしたから航続距離倍という論理は成り立たない。1.5倍強はいくと思います。
桑原)
リーフが現に出てきていますよね。あれは1.5倍くらいですよね。2020年くらい出てくると噂されているバッテリーは2倍くらい目指しているといわれていますよね。その先はどうなのでしょうか。
内田)
その先は結構時間がかかると思います。固体電池などは行かないでしょう。
桑原)
トヨタさんでは、固体電池が相当研究していると聞いていますが、
内田)
もともとトヨタさんはそちらの方が安定しているというので、研究はされているが、やはりリチウム積んでくると思います。
桑原)
とりあえず、実用化としてはリチウム積んできますよね。その先は500km走れば、その先はいらないというイメージはあるんですかね。
内田)
あると思いますよ。インフラが整ってきますと。そこで、充電時間が短ければいいという方向に走っていると考えらえます。ですから、リチウムイオンバッテリーが、そのころには安定して早く充電が可能となると、ただし、今の急速充電器では難しいのではとも思います。
桑原)
その話は、後でしていただきたいと思います。午後の話がなくなってしまいます~(会場 笑)。
司会)
さて、バッテリーの話題ですが、この件に関しては、自治体の皆さん、鈴木さん、なにかご意見がおありでしたら、お聞きしたいのですが。こんな情報をお持ちであるとか、どんなことをお考えなのかなど、もし、お聞かせいただければ。
鈴木)
直接電池の担当ではないので、発言には気を付けた方がよいと思っていますけど。(会場 笑)
2020年ころ、kWhあたり2万円というのを目指しているというのがありまして、これが、前倒しとなる雰囲気は感じます。また、電池というのは値段だけでなく、充電時間、安全性、耐久性もあるのを忘れてはなりません。いずれにしても、電池そのものの値段が安くならないと、EV,PHVの値段も下がってこないというのがありますので、今後、大容量化、値段が安くなるところを期待しています。
[EVOCカンファレンス2016 in HAKONE] 討議内容 レポート 午前の部(その2) に続く
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