HOME > EVコンテンツ

EVコンテンツ

2019-09-28 09:20:09『EVOCカンファレンス2019 in HAKONE』(2019.09.15)開催報告その2(午後の部)

午前の部に引き続き、午後のカンファレンスの様子をお伝えします。

午後トップバッターは、CHAdeMO協議会 会長 姉川尚史さんです。

【午後の部】
5.CHAdeMO協議会 会長 姉川尚史さん
姉川さんからは、聴講者に質問を投げかける形でお話を進められ、30分の持ち時間があっという間に過ぎてしまいました。


まず最初の質問「なぜ電気自動車に乗っているのか? ①走りが好きだから ②環境に良いから ③経済的だから ④その他」を聴講者に投げかけます。①、②、③は、順当に手を挙げた方が多くいましたが、④を選ばれたメンバーが数名いて、姉川さんがその理由を問いかけます。「新しいものが好きだから」という回答に皆さん納得。また、「テスラだから」という回答に、お答えになった方のお人柄を皆さん良くご存知と言うこともあって会場が大いに盛り上がりました。
2つ目の質問は、「EVが広まって欲しいか?Yes or NO?」という問いに対し、「No」 と回答された方に理由を聞くと、「自分だけの楽しみにしたい」という方や「充電器が混雑するのは困る」という。その回答を待っていたという姉川氏のリアクションは、「皆さんが不満を思っている高速道路のSAに10台とは言わないですが、8台くらいは並べていきたい」との力強いコメント。今後のCHAdeMO協議会に期待です。
3つ目の質問は「EVへの改善要求は? ①航続距離 ②値段 ③充電関連 ④その他」に対して、これは、やはり③が多め。
そして、四つ目の質問「充電への改善要求は? ①充電時間 ②設置場所 ③一ヶ所の台数 ④その他」に関して。想像どおり③が多い。
インフラビジネスは、最初は我慢、儲からない。後の方に楽となるので、先の方は歯を食いしばってやる。インフラ会社も頑張りますが、申し訳ないけど、EVOCの皆さんはイノベーターだから“高くても使いましょう”と。EV買ったんだけど、充電場所がすくない!高い!というと、その状態で止まるので、皆さんが、楽に・安い料金で使えるようになるためには、“これいいよ”と歯を食いしばって広める。それがイノベーターの役割。携帯電話も今のようにみんなが持つような時代がくるんだろうかと大いに不安を持って始めたそうだが、今思えばウソみたい。EVもきっとそうなります。だけど、それは皆さんの肩にかかっている。充電の時間が長いというのは気にせず、充電場所でEVの良さを宣伝して普及に協力してほしい。 
充電器を、どこにどれくらい置いたらよいか。イノベーターの役割としては、自分自身のニーズもそうだけど、自分より意識の低い人がどう思っているかも想像できるので、それがどういう声なのかをフィードバックしてほしい。ただし、置きやすいところに充電器を置いていくのではなくて、ニーズのある必要なところに置いていく。今、日本には7000基あり、世界NO1であるが、だからそれでいいと言っているのではなく、台数、場所、皆さんがほしいと思っているところからやっていく。
そして、「今後EVは5年10年でどんと増えるかどうか」という問いかけに関して、「増える増えないではなくて、増やさなくてはいけないもの。EVが普及していくのはそう簡単ではないと感じていて、皆さんと力を合わせ、スクラム組んで進めていきたい。当然先頭を走りますが、皆さんも第三列目で押してほしい。EVやると儲かるという風にしないと、EV普及は本物にならない。最初の5年はまだ苦しいと思いますが、皆さんと一緒に力を合わせて普及させていきたい。」と締められました。

6.日産自動車プレゼン 日本EV事業部 マーケティングマネージャー 島村盛幸さん
本日は次の3つをご説明いただいた。
①日産インテリジェントモビリティ ②日本電動化アクション「ブルースイッチ」③日産が目指すEVの今後の方向性


①日産インテリジェントモビリティ
お客様をより良い世界に、ワクワクする世界に導こうと全社一丸となって取り組む。自動車を取り巻く環境について、持続的発展に向けて4つの問題(エネルギー、地球温暖化、渋滞、交通事故)を解決していかなければならない。“ゼロ・エミッション”、“死亡事故0”の2つの「ゼロ」を実現するために、日産に最先端の技術でワクワクする世界(走りの楽しさ)に導き、より良い世界を作っていくというのが“日産インテリジェントモビリティ”の考え方。実現手段として、3つの技術(電動化、自動運転、つながる車)でより良い世界を作っていく。
② 日本電動化アクション「ブルースイッチ」 → インテリジェントモビリティ実現に必要なもの。
・練馬区:7台のパトロールカーを日産リーフに。災害があった場合は、必要なところに駆けつける。  
・会津若松市:公用車にEV&V2H。有事の際EVから庁舎に電気を供給。
・横須賀市:V2Hを導入、ピークカットに活用&非常用電源確保。仙台市にも導入。
・三重、京都にも有事の際にEVを貸し出して非常用電源として使う協定を締結した。
・民間企業、北海道のセイコーマート(北海道)と提携。V2H、パワームーバーの導入。
・介護老人施設ファンコート泉さん、八戸の平和病院:e-NV200やリーフで非常用電源
・パークホームズ大倉山、普段は住民用のカーシャアリングとして利用、有事の際は共同スペースへ給電。
今回の千葉の停電では、V2Hを導入でリーフのおかげで助かったというTweetで上がっている。
大きな停電の時にも蓄電池としてのリーフの魅力がすこしずつ受け入れられはじめた。
千葉の台風停電には、本社7台に加えて販社等から計30台近くで電気を供給している。パワームーバーの台数が律速。
③日産が目指すEVの今後の方向性
2022年度までにCセグメント・クロスオーバー、軽EVをリリース予定。お客様の用途に合わせてラインナップをそろえる。日産インテリジェントモビリティのEVの航続距離+自動運転プロパイロットの技術向上、Connected(つながる車)を駆使しながら、EVの世界を次の世界に進めていきたい。これまでのEVの世界は手ごろな価格のEVを何とか増やして市場開拓していこうという考え。経路充電の快適さZESPという形で経路充電の快適さを追求してきたが、今後は、家から目的地まで継ぎ目なく、経路充電も必要ない方向にと家充電を誘導していく方向に取り組む。新電力の会社と組み、日産販売店でEV用の安い電気プラン提供する。一部の販売店でトライアルを開始した。


7.三菱自動車プレゼン EV・パワートレイン技術開発本部 (CTE) 百瀬信夫さん
毎年ご参加いただき、講演していただいている百瀬さんからは、”DENDOコミュニティサポートシステム”、”電動ドライブハウス”という新しい三菱自動車からの提供、提案がありました。


〇EVがんばっています。ミニキャブ・ミーブ バンの日本郵便集配用車両へ導入。
集配用車両1200台をガソリン車から切り替え。商用EV市場の拡大をアピール。
〇充電環境の整備(DENDOコミュニティサポートシステム)
毎晩充電し放題プランの提供。ローソン、三菱商事が提供する新電力サービス“まちエネ”とコラボ。EVの充電について新しいサービスを開始。新規EV PHEVユーザー対象とし、自宅で充電は深夜1時から5時使い放題。10月からサービススタート。
〇電動ドライブハウス(DDH:DENDO DRIVE HOUSE)
電動車両(EV/HEV)、太陽光パネル、V2H、専用電気料金プランをパッケージにした。
お客様ベネフィットサマリーとしては、安心:停電時には電気が使える。環境貢献:太陽光発電によるエコ生活、お得:ガソリン代削減、太陽光発電の投資費用無料、格安な電気料金プラン、太陽光パネルV2Hの機器は契約終了時に譲渡。
三菱自動車販売会社にて販売。今年度中に発売開始。日本だけでなく欧州でも話を始めている。
〇三菱自動車DENDOコミュニティサポートプログラム
災害時協力協定を全国自治体と結ぶ。ディーラー所有の電動車を地方自治体の方と共用して活用。災害時を想定、自治体さんの要求に応じてすぐに動けるように、事前にスキームを決めておく。何かがあったときのプロセスを確定。迅速に車を提供できるようにした。基本はディーラーの試乗車を活用。
〇災害時の電動車両活用実績
東日本大震災、熊本地震、九州北部豪雨、西日本豪雨、北海道胆振北部地震などへEV/PHEVの貸与。人員および物資輸送、電源活用として。
〇電動ドライブステーション
電動車両の資源であるエネルギーソースの多様性と外部給電機能がもたらす災害時の価値を具現化した店舗。2016年10月に第一号店世田谷店にオープン。現在66店舗。200店を目標。電動車のメリットを訴求。
〇電動車の魅力発信:MI-Garden GINZA(9/12オープン)
“M”: Mitsubishi Motor
“I”: Intelligent(知性)Ingenious(創意工夫),Inspiration(インスピレーション), interaction(交流) の頭文字。
独自技術を盛り込んだクルマや技術展示、ライフスタイルを提案。電力に再生エネを利用、居心地のよい空間を提供。これからの車を考えていこうと電動中心に情報発信していく(3年間)。


8.ポルシェジャパンのプレゼン E-Performance/WLTP担当 細川英祐さん
ポルシェとして初のBEVであるタイカンを先頃発表。ポルシェにとってどういったことなのかを説明していただきました。

「100年に一度の大変革」を自動車業界が目の前にしている。この大変革に追いついていかないと、PORSCHEというブランドが無くなってしまう危機感をえながら、どういったことが起きるのかを分析している。
100年まえの車と今の車。基本走る停まる曲がるは変わらないが、中身は全く違う。1886年、カール・ベンツが内燃自動車を発明。AT、シートベルトの機構、エアバックなどの安全機構、ナビゲーションなどが培われてきた。ここからの100年はどうなるか。電動化によりスタートラインが全く変わってくる。
電動化に対して、ポルシェとして出した答えがタイカンというモデル。プロモーションビデオを紹介された。
ポルシェはスポーツカーを作るために立ち上げられたブランド。スポーツカーと音は切り離せない。タイカンは室内向けのスピーカーをつかって、車のなかでサウンドを出す。

デザインに関しては、箱根の道を走り始めるのが楽しみですが、日本国内でどうなるかをしっかりと話ができませんが、1200~2000万くらい2020年9月くらいから走り始める。販売開始は今年年末から来年春くらいから。
インフラも変えていかないといけない。ポルシェのブランド名を使って充電インフラを構築予定。日本国内においては、地下駐車場が多いので、そこにもインフラを整えていきたい。
〇自動車産業に大変革期をもたらすといわれるキーワード「CASE(ケース)」
C(人と車が街と社会と繋がる)、A(状況判断に人員が介入しない移動)、S(ユーザーが必要に応じて輸送サービスにアクセスできるようにするサービス)E(電動化革命、新しいエンジンカタチ)、に対しもポルシェとしても考えてボルシェとしてのブランドを残していく。たとえ電気になっても、たとえセダン、SUVであっても、スポーツカーがスタート、これから作る車もスポーツカーを作り続ける、それがポルシェとしての挑戦である。


9.ニチコンのプレゼン 車載・V2H・急速充電器グループ ビジネスグループ長 関宏さん
「EV急速充電器の市場課題とメーカー課題」と出してプレゼンしていただいた。
先日、V2HのワークショップをEVOCさんと実施しましたが、今日は急速充電器についてお話いたします。

〇「パワームーバー」の紹介:日産リーフから4.5kWの電力が取り出せる。携帯電話の充電だと2万台充電可能となる容量。キャリーがついていて女性でも運べる。
〇課題:充電器の使用状況のインバランス
現在の充電器、全国7600基が稼働。高速道路上のSA、PAは充電待ちが頻繁に起こっている。それ以外の場所66%のQCは「1日2回以下の使用」に留まっている。設置運営者の収入・費用バランスがとれていない。補助金がなくなっても将来の充電器更新に前向きになれるかが懸念。
〇充電器のユーザーインターフェースが異なる。
メーカーごとに操作方法が異なる。
〇認証・課金システム仕様がネットワーク(NW)ベンダーで異なる。
課金ベンダー … 3社体制:JCN、ENEGATE、UNISYS 異なるプロトコル。充電器メーカーは、課金システムが本体一体側で、認証機3社3様で、かなり違うため、開発費が増える。充電器メーカーとしての課題。
〇コールセンターのユーザー問い合わせが増加
EVユーザーが増えるからコールが増えるのは当たり前だが、その維持費用が増加。内容分析すると80%が操作方法、課金方法について。エネゲート(エコQ電)の問い合わせが増えている。
対策として、わかりやすい操作方法(業界統一化)、充電器ハードの信頼性向上(永遠のテーマ)、各メーカーの運営コールセンターの集約化(業界統一化)など、今後取り組みが必要と認識。
〇大出力充電器の要望
時間が早いことには越したことにはないが、イニシャルコストが上がる。コンピに、自動車販売店など、短時間滞在場所には、大出力ニーズが高い。
次世代のQCは、何かなと大出力だけではなく、もっと、ユーザビリティの改善。操作方法の統一。重いケーブルの解消。大出力化と同時に必要と思っている
今後ともユーザーの方のご要望に応えられるように商品づくりを進めていきたいと思っておりますので、ご支援のほどをお願いいたします。


10.ユアスタンドのプレゼン ユアスタンド 代表取締役社長 浦伸行さん
ご自身のマンションンに充電器設置を申し出たところ、拒絶されたことがきっかけでこの事業を始められた浦さんからの、プレゼンです。

日本の4割、首都圏6割が集合住宅に住んでいて、EVユーザーの90%が戸建て。EV充電器の重合住宅への普及率0.1%未満だという。
去年設置したマンションでアンケートを取ると、EVに興味のある方はかなりある。充電器の場所も自宅希望という回答が多い。普段充電する機会は自宅、会社など、長くいる時間に充電する。ユーザエクスペリエンスとしてはいいのではないか。
EV充電器導入の課題として、①合意形成(なぜ必要なのか、外で充電できるのではないか、理事会で興味がないとか、総会で採決をどうやってとっていこうかなど)、②コスト(投資を回収できるのか、一人のEVユーザーのためにだけ入れないといけないのか、メンテナンス費用、リプレースは?、電気代は?)③運用(課金管理、放置車両はどうするのか、利用の細則をどう作るのか)などノウハウに関して、お手伝いさせていただいている。煩雑で個人での導入は難しい。一つのマンションで9か月くらいかけて導入。
EV充電事業者の課題としては、①EV利用者が少ない②手間がかかる割に売り上げが小さい。③電気代が安いため、もうけが小さい。補助金を使っても事業の魅力がない。という背景がある。
そこで、一つの充電器を使って充電スタンドを効率的にシェア。専用アプリを開発。最適な充電時間の提案、充電器の予約。充電時間に応じた課金、利用明細書の管理を行う。今後は放置車両の管理、営業時間モード、来客駐車場予約課金、パスワード機能を追加するなど、機能を追加していく。
既存マンションへの導入実績は、30棟から55棟(2019年8月)。今年いっぱいで100件まで予想。営業は充電器だけではなく、マンションの課題を解決するという提案も実施。例えば、地下駐車場のWi-Fi導入をセットして充電器設置提案した。HD-PLC(高速電力線通信)を導入し、非EVユーザーのメリットも享受。
集合住宅でEVが普及する条件は次の5つ。①法整備・補助(新築マンション、アパートへのコンセント設置を制度化、既設マンションへの充電器設備設置補助)②正しい理解(本来の駐車場管理費の使途。駐車場管理費の貢献理解) ③自動車メーカーの協力(戸建てのようなマーケティングプラン、Base Charge Allianceとか。マンション充電環境への理解)④充電サービスプレーヤーの増加(持続可能なモデルの検証)


 
以上で、午後の部の講演は終了です。
この後、毎年EVOCカンファレンスでは、最大の盛り上がりを見せる座談会です。大変心苦しいのですが、本レポートには割愛させていただきます。ぜひ来年実施の際は、直接会場の輪に入ってお聞きください。

カンファレンス終了後は懇親会を開催しました。カンファレンス中では聞けなかったことを直接質問させていただいたり、さらなる交流を深めることができました。

今年も、皆様のおかげ様で大いに盛り上がりました。大変感謝いたします。ありがとうございました。

では、では、「EVOCカンファレンス2019 in HAKONE」の報告は、以上とさせていただきます。
また、来年もお会いしましょう。
 
      (藤田和弘/箱守知己)



▲ページの先頭へ