こじたんさんのBlog
NECの大規模設置充電器(まとめ) 2016-02-20 19:01:14
過去の3つのブログで、会員のみなさんから様々な意見などを頂きました。
その中で、疑問点や論点を整理したほうが良いのでは無いか?という意見もあり、まとめ編をアップします。
追記:書いててわかりましたが、この件を短くまとめるのは私には無理でした(笑)
【はじめに】
自分としては、この件は様々な事が絡みあって、いろんな問題や疑問をもたせていると考えます。その事によって一見して問題点や論点が定まらないように感じるのだと思います。
また表面上に見えている事と、ユーザーの立場では知りえない事が相互関係にあるために、推測を交えた疑問を提起する事となり、とても遺憾です。
【この充電設備の疑問点】
疑問1:補助金の使われ方はこれでいいのか?
疑問2:NEC H02W型普通充電器(の一部)はJARI認証に違反していないのか?
整理すれば、大きな疑問はこの2点です。
それぞれの疑問は先に書いた通り部分的に関連していますが、今回は別の問題として分けます。
【疑問1】
NEC方式の功罪:
EVOCのアクタス78さんのブログでイオンモールでの充電の問題がアップされています。
これを解決する手段としてNEC方式は非常に有効です。
極論では、すべての車室に充電設備が整っていれば、車を駐車場に止められさえすれば充電できるし充電完了後も買い物が終わるまで車を駐車し続けられるわけです。もちろんEV専用車室など設ける必要もなく、すべての車両に公平です。
現状はそこまで望めませんが、NEC方式はこれに非常に近い環境を整えてくれます。
反面、NEC方式ではこの環境を整えるためのコストが非常に高額です。この高額であるという所が疑問の元となります。
高額と書きましたが、残念ながら私には実際の販価や工事費を知る事が出来ませんので、公開されている定価ベースで充電器本体価格での試算しかできません。その前提で1施設に100台を設置するショッピングモールの場合をモデルケースとして計算しますと、、、。
80万円ー補助金53万円×100台=2700万円が充電器設備費となります。
ところでNEVの補助金は、現在の設備単価では多額の費用が必要で、設置が困難な充電インフラ整備を促進する事が目的です。現在は一般に普及しておらず、高額で商業ベースに乗らないEV充電器を、商業ベースとして見合った価格帯として導入できるように補助金が出ると解釈して補助を受ける事を妥当とし、H02Wの定価や補助額の是非には、ここでは一旦触れない事とします。
ちなみに参考情報として、現在のEV PHEVの普及率は0.2%程度とEVsmartさんのブログに試算がでています。
話を戻します。
本来であれば、100台の充電器を施設の駐車場に整備するには、補助金を使ったとしても2700万円(と本来は工事費)を施設(設置者)側が負担する必要があります。これは現在から近未来のEV PHEVの普及率を考えたら、顧客サービスの投資としては大きすぎると思われます。簡単に言えば、補助金もらってもなお、高すぎて売れないわけです。そこでNECは独自の導入モデルによって、実質0円で8000万円の充電設備を販売できるようにしました。
方法はこうです。
まず、充電器は1台80万円ですから、8000万円で100台の充電器の契約を結びます。そして地方自治体のビジョンに合致することによってNEV補助金5300万円が設置者に支給され、実質負担額が2700万円となります。ここまでは一般的な導入方法。
NEC方式では、実質2700万円で導入した設備をNECへリースで貸し出します。
ところで導入したのが企業であれば、これらの充電設備は資産となるはずです。つまり8000万円の購入費はキャッシュで出て行きますが、会社の帳簿上は8000万円の有価資産としてプラスマイナス0です。そこから、決められた償却期間によって、毎年減価償却費が発生します。要するに、この方式はある程度のキャッシュフローがある大きな会社である事が前提となります。もちろん第1の事業に該当する必要もあるので、そこでもある程度条件がしぼられますが。
また話を戻します。リースの支払い方法やリース期間は不明ですが、実質負担分の金額相当をリース費用として、NECから設置者に支払う事で実質0円での導入を実現しているものと思われます。(NECのHP参照)
問題はこのリース費の原資です。NECは営利企業ですから、当然「2700万円は低炭素社会の為に寄付します」というわけには行かず、リースで借り受けた設備を活用してリース費を払うために売り上げを出す必要があります。
この事はNECのパンフレットにも充電サービス事業を行うと記載されています。
この充電サービス、果たしてリース料を賄う収益を上げる事が可能なのでしょうか?
残念な事に事業の収益構造を、1ユーザーである私が知る術はありません。しかし推測により試算する事は可能です。
この設備は普通充電器で、主な収益源は有料充電客収入となります。NECに不利な数字をなるべく使わないで、条件面もかなり緩く設定し計算します。
まず充電料金は三菱のスタンダートプランの1.4円/1分を適用します。
営業は24時間365日年中無休とします。
次に稼動率です。まずEV車が充電車室に入る確率です。先のEVsmartさんの普及率のデータからEV PHEVの普及率は0.2%程度です。そして駐車場全体に、あと1000台分の充電器の無い車室がある事として、充電器のある車室にEVが駐車する確率を10倍します。すると2%。つまり100台設置すると2台の電気自動車が入庫し、常に駐車場は満車であると仮定し、24時間365日、入れ替わりながら充電し続けるとします。
ありえないほど楽観的な前提です。
1.4円/分×24時間×2台=4032円/1日
4032円×365日=1,471,680円
この設備の年間充電料金収入は約147万円です。ここから充電電力料金、設備維持管理費、NCSの管理費などが経費として引かれます。その金額は不明ですが確かに存在するはず。また、設定したリース料の2700万円には工事費が含まれていません。
さて、これは事業として成立しているのでしょうか?
NECがどのようにこのビジネスモデルを成立させているのか、大変興味深いですよね。
(私個人は充電器の定価を高く設定し、実質価格との差額分を事実上設置者に還元しているのだと思っています。もちろん直接やったら利益供与とかで違法と思います)
施設の稼働率の前提が低すぎますか?
では、一例ですが、2月20日(土)のお昼頃の稼動状況を三菱充電サポートアプリの満空情報から見てください。
同時間帯に十数箇所見ましたが、半分くらいは稼動0で、充電中が一番多かったアリオ橋本でも3/148台です。
平日もこの1週間、休み時間や仕事終わりなどにチェックしましたが、ほとんどの場所で稼働率0で、使われてても1台か2台です。
【で、疑問1の論点は結局なんなの?】
NEC方式は26年度補正予算の手厚い補助を使ってもなお、充電サービス事業としてはもちろん企業の広告宣伝的な位置付けとしても成立していないと推察されます。また稼動率という視点でも、費用対効果が高いとは言えません。
100台で8000万円(内補助金5300万円)の稼働率が実質1%以下の有料普通充電設備、皆さん欲しかったですか?
その答えは電気自動車に乗っている皆さん自身がわかっていると思います。
5300万円も補助金があったら、もっと高速道路や道の駅の急速充電器が欲しいです。EV普及の為に家庭用の普通充電器に補助して欲しいです。
そして、万が一充電器価格を高く設定して得た利益を顧客に還元するビジネスモデルだとすると、規定上の違反が無いとしても、補助金を自主返納すべきではないかと思います。
※ NECの充電器設置の方式自体は良いと思いますが、商業ベースに乗るコストで提供できる事が必要と考えます。
【疑問2】
【疑問2の論点は?】
【個人的なまとめ】