こじたんさんのBlog
NECの大規模設置充電器(3) 2016-02-15 21:57:12
H02Wの不都合な真実
前回のブログで充電機について、充電不具合のあるものと無いものがあると書きました。
この件についての疑問を考えます。
仮説:H02Wには2種類ある
【H02Wの正体】
まず、H02Wの正体を書かなければなりません。充電不具合という不都合が無ければ、私たちユーザーには本来関係無いので、通常は気づく事はありません。
JARIの認証リストに答えが載っています。
リスト上には認証登録者としてNECは載っていません。つまりH02WはNECが認証を受けた機種ではありません。
H02Wは平河ヒューテックという会社が認証登録を受けていると、JARIのリストは示しています。
つまり、NECのH02Wは平河ヒューテックという会社が製造し認証を取得しています。
平河ヒューテックの認証リストを見るとHCCID-K001という機種が存在ます。それがこれです。仕様オプションというタブを開くと色は違いますが、H02Wと同じ形のポールも載っています。
このように、H02Wは平河ヒューテックがOEM元、もしくは委託生産した物、これが正体です。
【完全オリジナルではないという事実】
すでにお気づきの方も多いと思いますが、H02Wのデザインは、他社のある充電器にそっくりです。
そう、矢崎エナジーシステムのイエスタです。
もしかして、3つとも同じもの!?
いいえ、違います。正解はやはりJARIの認証リストに登録番号JAAR0008として記載されています。YDCH01-01、YDCH01-S1という型番が、矢崎エナジーシステム沼津製作所製として記載さており、ここから矢崎のイエスタはH02Wとは別の工場で作られた別の製品である事がわかります。
でも、これほどデザインが同じ物を他社が勝手に作れば、大問題になりますよね。記憶にあたらしい、デザインパクリ問題となってしまいます。しかし双方のデザインが公開されているのに、そうした問題は報告されていません。
つまり、これはどちらかがオリジナルで、もう一方がライセンスもしくはOEM供給を受けている事になります。
どちらがオリジナルなのか?答えは、矢崎エナジーシステムのHPにあります。
2014年グッドデザイン賞受賞
つまりは、矢崎がデザインして製造したという事。イエスタがオリジナルです。
でも、平河が矢崎から供給を受けているのは主に筐体とコネクタだけです。中身の基盤は矢崎製ではありません。
なぜなら双方のHPで確認すると機能が違います。なによりイエスタで充電不良の報告は知る限りありません。
これらの状況から、H02Wは平河ヒューテックやNECのオリジナルではなく、矢崎イエスタのOEMでもなく、矢崎から供給を受けた筐体に別の回路基盤を組み合わせて平河ヒューテックが組み立てた製品という推論が成り立ちます。
【もう1社の影】
平河ヒューテックはHPをみれば解るように電線のメーカーです。果たして電線メーカーに電気自動車の充電機の回路設計や基盤設計が出来るのでしょうか?私はそうは思いません。
なぜなら、充電機の互換性は大変難しいのです。かとーさんが紹介してくれたJARIの資料にも互換性をとる事が難しい事が示されています。
このような高度な回路やソフトを電線が専門のメーカーに設計できるとは思えません。NECなら出来るでしょうが、回路設計やソフト設計には時間とお金がかかります。そのような開発をするのであれば、わざわざ矢崎から筐体の供給を受けて他社で組み立て認証を取得してもらうなど面倒な事をせず、生産は委託に出すにしても認証は自社で取る事でしょう。
回路設計/ソフトウエア設計/基盤設計などを担った、もう1社=仮にX社とします=が存在します。
しかも、わざわざH02Wのために新設計したのではなく、類似のシステムをすでに保有していたX社から基盤をOEMしてもらったと見るのが自然と考えます。
矢崎 → X社 → 平河 → NEC → 消費者
【2種類のH02Wと1種類のH02W】
客観的状況。実際に設置されているH02Wに、特定の車種=三菱MiEVシリーズの一部=で充電出来る物と出来ない物がある。なんの変更もされていない同じ充電機が、ある時から突然充電できなくなる事はありえません。
充電機の認証に置いては、JARIの認証制度のページを見ればわかるように、大変厳しいものです。製造のバラツキで性能が変わらないように品質マネージメントを求められています。
この事から変更部位は不明ながらH02Wには仕様の異なる2種類があると考えられます。
一方で、JARIの認証リストには1種類のH02Wしかありません。変更に伴う再認証を受けていないという事になると思われます。
【真実はどこに】
ここからは私の妄想。ファンタジーです(笑)
当初、H02WはX社の基盤が組み込まれていました。これを前期型と仮称します。
ある時(それが10月近辺です)X社は充電機事業から撤退する事になりました。H02Wは内部の基盤を失います。
しかし、すでに顧客から大量の充電設備を受注しているうえ(セブンアンドアイリリースは8月)、補助金の期限が迫っています。このままでは充電機の供給が間に合わず、顧客の契約を果たせない上、補助金申請も間に合いません。
急ぎ、代替えの基盤を手配しなければなりません。そしてその代替え基盤を組み込んだH02Wを後期型と仮称します。
なんとか代替え基盤の手配を間に合わせ、後期型の生産に目処が立ちました。しかし再認証を受ける時間はありません。外観や仕様に変更はありませんし、実機を使い日産リーフやアウトランダー、プリウスなどで充電テストを行い、動く事を確認しました。もう、補助金期限が迫っています。
・・・ 再認証や正確な互換性テストを受ける事なく、後期型の生産にGOがかかりました。。。